第96首

入道前太政大臣

にゅうどうさきのだじょうだいじん
入道前太政大臣の歌

花さそふ 嵐の庭の 雪ならで

ふりゆくものは わが身なりけり

桜の花を誘って散らす嵐が吹く庭では、雪のように花が降っている。いや、古りゆく(年老いていく)ものは、花ではなくて我が身であったよ。

超現代語訳

桜吹雪が雪みたい。で、気づいちゃったんだけど、散ってるのは桜じゃなくて私の若さじゃん? 歳取るの早すぎ。私の全盛期、どこで散った?

はなさ

【三句切れ】「花さそふ」は花を誘って散らす。「雪ならで」は雪ではなく。「ふりゆく」は「降りゆく」と「古りゆく(年老いる)」の掛詞。
「ふりゆく」(降り・古り)
入道前太政大臣(藤原公経)。庭に降るのは雪ではなく桜の花びらだが、本当に古びて衰えていくのは私自身だという、老いの嘆きと無常観。