第72首

祐子内親王家紀伊

ゆうしないしんのうけきい
祐子内親王家紀伊の歌

音にきく たかしの浜の あだ波は

かけじや袖の ぬれもこそすれ

噂に高い高師の浜の、いたずらに立つ波のような浮気なあなたのお言葉には、決して心をかけませんよ。後で涙で袖を濡らすことになっては大変ですから。

超現代語訳

あんたがチャラいって噂は聞いてんの。波みたいに寄せてきても乗らないよ? どうせ遊ばれて泣くの私じゃん。火遊びに付き合うほど暇じゃないんで。

おと

【三句切れ】「音にきく」は噂に高い。「あだ波」は高い波と浮気心の象徴。「かけじ」の「じ」は打消意志(かけないつもりだ)。
「立つ」(波が立つ・噂が立つ)、「かける」(波を被る・心を掛ける)
祐子内親王家紀伊。浮気者と評判の男性のアプローチに対して、「波(涙)で袖を濡らすのは嫌です」とはっきりと拒絶した歌。