漫画「ちはやふる」の衝撃
2008年に連載が始まった末次由紀の漫画「ちはやふる」は、競技かるたを題材にした青春漫画です。 主人公・綾瀬千早がかるたに情熱を注ぐ姿を描き、累計発行部数は2500万部を超える大ヒット作となりました。
タイトルの「ちはやふる」は、百人一首の第17番・在原業平の歌「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」に由来しています。
この作品が与えた影響は計り知れません。
- 全日本かるた協会への競技者登録数が大幅に増加
- かるた部を新設する学校が全国で急増
- 近江神宮への聖地巡礼が観光資源に
- 百人一首への関心が若い世代に広がった
映画・アニメ作品
「ちはやふる」はアニメ化(2011年〜)、実写映画化(2016年〜)され、いずれも高い評価を受けました。 実写版では広瀬すず主演の3部作が公開され、興行収入は合計100億円を超えています。
百人一首を題材にした作品は「ちはやふる」だけではありません。
- 「超訳百人一首 うた恋い。」 — 歌人たちの恋愛模様を現代的に描いた漫画・アニメ
- 「うた∽かた」 — 百人一首をモチーフにしたアニメ作品
- 数々のゲームアプリ — 百人一首を題材にしたスマホゲームも多数
正月の風物詩
日本の正月に家族でかるた遊びをする習慣は、江戸時代から続いています。 年末年始のテレビでは名人戦・クイーン戦の中継が放送され、正月の風物詩として親しまれています。
「坊主めくり」は、百人一首の絵札を使った正月遊びの定番です。 絵柄に描かれた人物が坊主(僧侶)か、殿か、姫かによってルールが変わる単純な遊びで、百人一首を知らない小さな子どもでも楽しめます。 当サイトでも坊主めくりの遊び方を紹介しています。
学校教育と百人一首
百人一首は、日本の国語教育において重要な位置を占めています。
- 小学校 — 五色百人一首(20首ずつ5色に分けたもの)を使った授業が広まっている
- 中学校 — 古典文学の入門として百人一首を学ぶ
- 高校 — 古文の授業で文法解説の題材として扱われる
- 大学入試 — 共通テストや個別試験で百人一首の歌が出題される
特に五色百人一首は、教育技術法則化運動(TOSS)が推進したことで全国の小学校に広まりました。 20首ずつ色分けされているため、少ない枚数から始められ、低学年でも取り組みやすいのが特徴です。 当サイトでも五色百人一首の練習ツールを提供しています。
海外への広がり
百人一首は英語をはじめ多くの言語に翻訳されています。 最も古い英訳は、1866年のフレデリック・ヴィクター・ディキンズによるものとされ、 その後クレイ・マコーレーなど複数の翻訳者による英訳が出版されています。 当サイトでもマコーレーの英訳一覧を掲載しています。
近年は「ちはやふる」の海外配信や、国際かるた大会の開催を通じて、 海外でも競技かるたへの関心が高まっています。 日本文化への入り口として、百人一首は今後さらに国際的な認知を広げていくでしょう。
千年先の百人一首
鎌倉時代に一人の歌人が選んだ100首の和歌が、800年の時を経て漫画になり、映画になり、スマホで練習できるようになり、海外にまで広がっている。 百人一首は、日本語で書かれた最も長寿なコンテンツの一つといえるかもしれません。
31文字に込められた感情は、時代が変わっても色あせることがありません。 恋の切なさ、季節の美しさ、人生のはかなさ — これらは千年前も今も、そしてきっと千年先も、人の心に響き続けるでしょう。