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PRちはやふる百人一首勉強ノート

💑 両想いの歌

百人一首の恋の歌から 全10首

百人一首に、両想いを素直に喜ぶ歌はほとんどありません。恋の歌43首の多くは、片思いや別れ、心変わりを嘆く歌です。

それでも、思いが通じ合ったあとの心を詠んだ歌はあります。平安時代の恋は、男性が夜に女性のもとを訪れ、夜明け前に帰るのが普通でした。一夜をともに過ごした翌朝を「後朝(きぬぎぬ)」といい、男性は帰ったあとで歌を贈るのが習わしでした。

ここでは、結ばれた二人(あるいは結ばれていた二人)の心を詠んだ10首を紹介します。いちばん両想いらしいのは、最初の「結ばれた翌朝の歌」です。

結ばれた翌朝の歌(後朝)

権中納言敦忠
043番 権中納言敦忠

逢ひ見ての のちの心に くらぶれば

昔はものを 思はざりけり

一度逢って愛を交わした後の切ない心に比べれば、逢う前の悩みなど、物思いのうちには入らなかったのだなあ。

両想いポイント結ばれたあとの思いに比べれば、逢う前の物思いなど無いも同然だった。『拾遺和歌集』では「題しらず」ですが、もとになった『拾遺抄』では後朝の歌とされています。

藤原義孝
050番 藤原義孝

君がため 惜しからざりし 命さへ

長くもがなと 思ひけるかな

あなたのためなら捨てても惜しくないと思っていた命さえ、お逢いした今となっては、少しでも長くありたいと思うようになりました。

両想いポイントあなたのためなら惜しくなかった命が、結ばれた今は長くあってほしい。恋が実った一夜で人生観が変わった若者の歌です。作者の義孝は若くして疫病で亡くなりました。

藤原道信朝臣
052番 藤原道信朝臣

明けぬれば 暮るるものとは 知りながら

なほ恨めしき 朝ぼらけかな

夜が明ければ、やがて日は暮れてまた夜になりあなたに逢えるとわかってはいますが、それでもやはり(あなたと別れなければならない)夜明けは恨めしいものです。

両想いポイント夜が明ければまた日が暮れて逢えるとわかっていても、別れの夜明けは恨めしい。『後拾遺和歌集』では雪の日の後朝の歌として伝わります。

待賢門院堀河
080番 待賢門院堀河

長からむ 心も知らず 黒髪の

乱れて今朝は ものをこそ思ヘ

あなたの私に対する愛が長く続くかどうかもわからないので、黒髪が乱れているように、今朝の私の心も乱れて物思いに沈んでいます。

両想いポイント男性が帰ったあと、この愛が長く続くのかと不安で、黒髪のように心が乱れる。女性の側から詠んだ後朝の歌です。

愛を誓い合った二人

儀同三司母
054番 儀同三司母

忘れじの 行末までは かたければ

今日を限りの 命ともがな

「いつまでも忘れない」という将来までの約束は守り難いものですから、その言葉を聞いた今日を最後として、死んでしまいたいなあ。

両想いポイント「忘れない」という言葉が永遠に続くのは難しいから、幸せな今日のうちに命が終わればいい。詞書は「中関白通ひそめ侍りけるころ」で、藤原道隆と結ばれて間もない頃の歌です。

右近
038番 右近

忘らるる 身をば思はず 誓ひてし

人の命の 惜しくもあるかな

あなたに忘れ去られる我が身のことは何とも思いませんが、私を愛すると神に誓ったあなたの命が、神罰で失われないかどうかが惜しまれます。

両想いポイント忘れないと神に誓ったあなたに忘れられても、私はかまわない。ただ、誓いを破ったあなたの命が惜しい。誓い合った恋の「その後」を詠んだ歌です。

清原元輔
042番 清原元輔

契りきな かたみに袖を しぼりつつ

末の松山 波越さじとは

約束しましたよね。お互いに涙で濡れた袖を絞りながら。末の松山を波が決して越えないように、二人の仲も変わらないと。

両想いポイント涙の袖をしぼりながら、心変わりはしないと誓い合ったのに。心変わりした女性をなじる歌で、元輔が人に頼まれて代わりに詠んだものです。

引き裂かれても逢いたい

元良親王
020番 元良親王

わびぬれば 今はた同じ 難波なる

みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

こうして身を焦がして悩んでいるのですから、身を滅ぼしてしまっても同じこと。難波の澪標のように、身を尽くしてでもあなたに逢いたいと思います。

両想いポイント二人の仲が世間に知られてしまった今、どうなっても同じこと。身を尽くしてでも逢いたい。詞書によると、相手は宇多法皇の妃・京極御息所です。

左京大夫道雅
063番 左京大夫道雅

今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを

人づてならで 言ふよしもがな

今はもう、あなたをきっぱり諦めてしまおうということだけを、人づてではなく、直接あなたに会って言う方法があればいいのになあ。

両想いポイントせめて「あきらめます」の一言だけでも、人づてでなく直接伝えたい。三条院の皇女・当子内親王との仲を院に裂かれ、二度と会えませんでした。

崇徳院
077番 崇徳院

瀬を早み 岩にせかるる 滝川の

われても末に 逢はむとぞ思ふ

川の流れが速いので、岩にせき止められた急流が一度2つに分かれても、また1つになるように、私たちも今は離れ離れでも、将来は必ず一緒になろうと思う。

両想いポイント岩で分かれた急流がまた一つになるように、今は離れても必ずまた逢おう。崇徳院が企画した「久安百首」で、恋の題として詠まれた歌です。

歌の出典・詞書の参考: 全日本かるた協会「小倉百人一首フェスティバル2020」札の解説、 嵯峨嵐山文華館「小倉百人一首の全首を見る」

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