🚢 旅・離別の歌
旅立ち、別れ、遠くへの思い...離別を詠んだ歌
全11首
百人一首の旅・離別の歌は約11首。平安時代において旅は現代とは比較にならないほど大きな出来事でした。
当時は交通手段が限られており、都から地方へ赴く旅は命がけの冒険でした。そのため、旅立つ人を送る歌や、遠く離れた故郷を思う歌には、深い感情が込められています。
第7番・安倍仲麿の「天の原 ふりさけ見れば 春日なる」は、遣唐使として中国に渡った仲麿が望郷の念を詠んだ歌です。異国の地で見上げた月に、奈良の三笠山に昇る月を重ね合わせた名歌として知られています。
第10番・蝉丸の「これやこの 行くも帰るも 別れては」は、逢坂の関を行き交う人々の出会いと別れを詠んだ歌で、人生の無常を旅の情景に託しています。
第16番・中納言行平の「立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる」は、因幡への赴任に際して詠んだ別れの歌です。「いなば」に「去なば(行ってしまったら)」を掛け、「松」に「待つ」を掛けた巧みな掛詞が使われています。
旅と別れは、和歌の世界で古くから重要なテーマでした。物理的な距離が心の距離と直結していた時代だからこそ、これらの歌には切実な思いが宿っています。
旅・離別の歌一覧
天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも
大空を遥か見渡してみると、月が出ている。あの月は、故郷の春日にある三笠山に出ていた月と同じ月なのだなあ。
超現代語訳中国の空を見上げて月を見てるんだけど、これって奈良の三笠山で見たあの月と一緒なんだよね… って考えたらホームシックで泣きそう。日本帰りたい。
わが庵は 都のたつみ しかぞすむ
世をうぢ山と 人はいふなり
私の仮住まいは都の東南にあり、そこで静かに暮らしている。世を辛いと思って逃れ住んでいる山だと、人は言うようだが。
超現代語訳俺の家、都のちょっと外れにあるんだけど、結構快適に住んでるわけ。なのに周りは「あいつ世捨て人だ」とか噂してるらしい。ほっとけよ、スローライフ最高なんだから。
これやこの 行くも帰るも 別れては
知るも知らぬも 逢坂の関
これがあの、都へ行く人も帰る人も、知っている人も知らない人も、出会っては別れるという逢坂の関なのだなあ。
超現代語訳ここが噂の逢坂の関か〜。出発する人も帰ってくる人も、知り合いも他人も、みんなここで会って別れていくんだね。人生の交差点って感じでエモい。
わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと
人には告げよ あまの釣舟
広い海を、たくさんの島々を目指して漕ぎ出して行ったと、都にいる親しい人たちに伝えておくれ、漁師の釣り船よ。
超現代語訳大海原に向かって船出したって、みんなに伝えてくれない? そこの釣り船の人! 俺が島流しになっても元気でやってるって、都のみんなに拡散希望!
天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ
をとめの姿 しばしとどめむ
空を吹く風よ、雲の通り道を閉ざしてくれ。天女のような舞姫の姿を、もうしばらく地上に留めておきたいから。
超現代語訳風よ、空気読んで雲を止めてくれ! あの美しいダンサーたちが帰っちゃうの惜しすぎる。マジで目の保養だから、もう少しだけ見させて!
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む
お別れして因幡の国へ行ってしまっても、因幡の山の峰に生えている松のように、あなたが待っていると聞いたなら、すぐに帰ってきましょう。
超現代語訳転勤でお別れだけど、もし君が「待ってる」って言ってくれたら、ソッコーで飛んで帰ってくるよ? 因幡の松みたいにずっと待っててくれるなら、距離とか関係ないから!
このたびは 幣も取りあへず 手向山
紅葉の錦 神のまにまに
この度の旅は急だったので、神様に捧げる幣を用意できませんでした。代わりに手向山の紅葉を捧げますので、神様の御心のままにお受け取りください。
超現代語訳急な出張で手ぶらで来ちゃいました、神様! お賽銭ないけど、この紅葉マジ綺麗なんでこれで勘弁して! 自然の美しさプライスレスってことで、よろしく頼みます!
誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに
私は誰を親しい友としようか。(長寿で知られる)高砂の松でさえ、昔からの友人ではないのだから。
超現代語訳友達みんな先に死んじゃって、私誰と話せばいいの? あの長生きな松の木だって、昔話できる相手じゃないしなぁ。長生きするのも楽じゃないわマジで。
大江山 いく野の道の 遠ければ
まだふみもみず 天の橋立
大江山を越えて行く生野への道は遠いので、まだ天の橋立を踏んでみたこともありませんし、(母からの)手紙もまだ見ておりません。
超現代語訳大江山超えるのダルすぎでしょ。天の橋立? 行ったことないし。母さんからの手紙? オオカミ少年扱いしないでよ、マジで届いてないんだってば!
わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の
雲居にまがふ 沖つ白波
大海原に船を漕ぎ出して見渡してみると、遥か彼方の雲と見分けがつかないような、沖の白波が立っていることだ。
超現代語訳海に出てみたら、波と雲の境界線なさすぎ! 全部真っ白でどっちが空でどっちが海かわかんない。異世界に来ちゃった感あって壮大すぎるわ。
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
濡れにぞ濡れし 色は変わらず
あなたにお見せしたいものです。(涙で濡れた私の袖を。)松島にある雄島の漁師の袖でさえ、こんなに濡れに濡れて色が変わったりはしないでしょうに。
超現代語訳私の涙で濡れた袖、漁師の作業服よりビショビショなんですけど。血の涙って本当にあるんだねってレベルで色変わってるし。これ見てドン引きしないでね?
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